この記事は、ウイスキーの製法についてまとめたものです。前回は、大麦から麦芽(モルト)を作る「製麦」について説明しました。
今回はその次の「糖化」(仕込み)について分かりやすく解説していきます。
前回の記事はこちらから↓
モルトウイスキーの製法について分かりやすく解説!~工程① 製麦~
おさらい:ウイスキーの製造工程は大きく6つ!
前回のおさらいを簡単にすると、ウイスキーの製法は以下の6つに分かれていました。

今回は2番目の「糖化」について解説していきます。
「糖化」の大まかな流れは?
「糖化」はさらに以下のような工程に分かれています。

ここでの工程を簡単に要約すると、「酵素が糖分を食べてアルコールを作れるように、麦芽に下処理する」という形です!
それでは詳しい工程を見ていきましょう。
麦芽(モルト)を粉砕し糖化する
麦芽についているごみを取り除いたのち、モルトミルと呼ばれる機械で麦芽を粉砕します
ここで粉砕された麦芽のことを「グリスト」と呼びます。
さらにこのグリストを67~70℃の温水と混ぜ合わせ、「マッシュ」と呼ばれる粥状の状態にします。
これをマッシュタン(糖化槽)に入れ、糖化酵素が働きやすい65℃に保ちながら混ぜ合わせていきます。

でんぷんが糖に変わるのと同時に、麦芽に含まれるタンパク質がアミノ酸に分解されます。これもウイスキーの風味に影響を及ぼす要素となると言われています。
なぜ糖化するの?
大麦の主成分のでんぷんは、グルコースと呼ばれる糖分が多数結びついたものです。
酵母はグルコースや糖分をアルコールへと発酵させますが、でんぷんのように、大きすぎるものはアルコールに分解することができません。
そこで、でんぷんを小さな糖分へ分解して、アルコールに分解しやすくする工程が必要となるのです。

麦汁の抽出・冷却
糖化が終わったマッシュを、マッシュタン糖化槽の底にある、スリット状の板からこし出し、麦汁を採取します。
ここで採取される麦汁を、一番麦汁と呼びます。糖度は20度あり、多くの糖分を含んでいます。
糖度20度と言われてもピンとこない人も多いと思います。というか、そもそも糖度とはどのような値なのか?疑問の人も多いかと思います。
糖度とは以下のような値を指します。
果汁100グラムの中に糖分が何グラム含まれているかを示す値
そうなると、麦汁の中に糖分が20g含まれているということになりますね!
ちなみに、他の食材の糖度がどのくらいかというと…
食材の種類 | 糖度 |
---|---|
サツマイモ | 8.0~12.0 |
イチゴ | 8.0~15.0 |
りんご | 12.0~17.0 |
バナナ | 20.0~21.0 |
こうみると、かなり多くの糖分を含んでいることが分かりますね。この多くの糖分が、この後酵母の力でアルコールに分解されていきます。
その後さらに、約75℃の温水をマッシュタンの上から注ぎ込み、もう一度こし出すとことで二番麦汁が、同じことをもう一度繰り返すと三番麦汁が出来上がります
その後、生成された麦汁を20℃前後にまで冷却します。これは、高い温度のまま次の発酵槽に移すと、糖を分解する酵母が死んでしまうからです。
まとめ
今回は2番目の工程「糖化」について解説していきました。
今回の内容をまとめると…
・麦芽の中のでんぷんを糖に分解する!
→これにより酵母が糖をアルコールに分解しやすくなる
次回は、分解されてできた糖をアルコールに分解する、「発酵」について解説していきます。
続きはこちらから↓
モルトウイスキーの製法について分かりやすく解説!~工程③ 発酵~
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